●公演終了日記 八百屋ヤオハチ(平田知大)

虹色商店街、八百屋ヤオハチ!

アンコいわく、「商店街のおとーさん」

『剣劇7』、いかがだったでしょうか。
ご来場頂きまして誠に有り難うございました。
羅針盤再起動と銘打ったこの作品を、お楽しみ頂けていれば幸いです。
皆の終了日記にも書かれていますが、実は本当に「7人」の予定でした。ええ、そのつもりで書いてました。
企画が始まったのは3月。まだ『FINAL』の稽古真っ只中。
出演予定は羅針盤から4人、劇団不完全燃焼さんから3人。この時点で本当に羅針盤公演なのか?という気も若干しますが、能沢君は岡本君の直系の弟子だったり、増村さんはすでに「たらんちゅらん」として羅針盤に出ていたり、和田君にいたっては普段着が羅針盤パーカーという、まあ何だ。皆もう羅針盤だよ!とよく分からない理論で書き始めたのです。
まずは台本に役名を書くところから始めました。
お肉屋さん、魚屋さん、八百屋さん、お菓子屋さん・・・ぐらいがまず最初に浮かび、本屋さん、おもちゃ屋さん、定食屋さん、写真屋さん・・・と勢いのまま書き並べ、あ、お客様はいるべきだよね。「かよさん」、と書いてからお客さんと書き直し、・・・あれ? ひー、ふー、みー、よー、・・・多いな。まあ書くだけ! アイデアだから! 役名だけだし!
『FINAL』の本番となり、台本作成はすっかり忘却の彼方へ。
ここで川端くんが入団します。実は彼は彼で、高校時代に私と矢澤さんのレッスンを演劇部で受けていたという、いわば生え抜きです。よし、これで人数問題はクリアだ! ※実は1人足りてない
そしてキャラクター設定を考え始めたわけです。
肉屋と八百屋は仲悪い、魚屋はちょっと影が薄い、本屋は長老で秘密を知っているとか? おもちゃ屋は何かいっつも直してる、写真屋は撮りまくり、お菓子屋が実は・・・にしよう。あ、皆はやっぱどこかに集まると楽しいよね、定食屋か。・・・多いな。まあ書くだけ! 設定だから! 出ない人がいてもいいし、二役でもいいし!
バベキュー、ヤオハチ、ウオマサ、カイチョウ、ブリキ、キネマ。
お菓子屋はアンコにしよう。駄洒落で良し! お客さんは思いつかないからオバチャンで。あ、定食屋がコナモンだったら面白そうだ。・・・多いな。まあ書くだけ! 名前だから! 厨房にいて出てこない!とかでもいいし!

白菜椎茸にんじんトマト!

もう肉屋兼魚屋でくっつきゃいーだろ。

俺の店から野菜は出さねえ。

しかし私は肝心なことを忘れていたのです。
「羅針盤での迂闊な発言は、実現する」
4月公演『FINAL』を終え、そのまま劇団不完全燃焼の公演に関わり、彼らの通し稽古の傍らで台本を書く日々。そう、ずーっと公演モードの私は勢いだけで台本を書き綴って・・・書き殴っていました。そして6月。不完全燃焼の公演も終わり、その翌日から『剣劇7』の稽古。ええ、茜音・和真・秀矢の3人はアホです。昨日まで別の芝居してたろ!
ここでようやく、
「人数合わなくね?」という疑問が劇団員たちの中に沸いてきました。私の中にも沸いてきました。キャスト表にはキャラクター名と俳優名が記載されています。「肉屋バベキュー 矢澤あずな」というように。なのに明らかに「定食屋コナモン            」という不自然な空白があるのです。・・・おかしいな。
いてもいなくてもいいような端役など作らない!
そう誓って始めたのが劇団羅針盤です。60パーセントを超えていた台本は、もうすっかりがんじがらめに噛み合い、今さら減らせる役などありませんでした。もちろん、定食屋も。コナモンのラストシーンをご覧になった方は、お分かりですね? よりによってこの作者は、あのシーンを書き上げていたのです。
頭の右隅では「ここに沙樹がいればなあ・・・」。いやしかし、彼女は受験生です。おいそれと誘えません。稽古場の片隅に同じ受験生の茜音がいる気がしますが、深く考えないようにしましょう。
「おつかれさまでーす」
・・・神は舞い降りた! あろうことか彼女は狩り場、じゃなかった稽古場にやってきたのです。
そしてキネマ。諸事情により急遽困っておりました。でも今さら削ることも出来ません。自分の誓いは、いつだって自分自身の首を絞めるのです。頭の左隅では「ここに理央がいればなあ・・・」。いやしかし、彼女は受験生です。おいそれと誘えません。稽古場の片隅に同じ受験生の茜音と沙樹がいる気がしますが、深く考えないようにしましょう。
「おつかれさまでーす」
・・・神は舞い降りた! 再び!
かくして「たらんちゅらん」は再び勢揃いすることとなったのです。
本当にメンバーに恵まれた公演でした。
稽古から本番まで、楽しい日々はあっという間に過ぎていきました。大人達が若者達に支えられるという逆転現象な作品でしたが、同時にまたやりたい作品ともなりました。急がないと再演したいリストがいっぱいいっぱいですね。頑張ります。まずは『西遊記』から! ちなみに受験生チームの3人には、数学の課題を渡してあります(笑)
それでは皆様、改めまして。
『剣劇7』にご来場頂きまして、誠に有り難うございました!
また劇場でお目にかかれることを楽しみにしております。

家庭と仕事、いつだって本気だよ俺達は!

虹色商店街、また会う日までっ!