● 公演終了日記 伊崎ベン(岡本真吾)

記憶喪失の探偵、伊崎ベン

「取り敢えず状況を整理しよう」「いい考えだ」

白と黒の境界線からもう三年ほどになるのでしょうか。あの頃は、まだ20代だったのですね!前作より三か月前の話のはずなのに、当の本人は三歳年をとり、三十路~ズの仲間入り。いや~びっくりですね!!今回、回帰線をやるにあたって、過去を振り返っていたのですが・・・本番直前にポリープができ、声が出なくなったな~。本番当日もすねを強打して、いまだに傷跡残ってるな~。そういや、一時間以上水分補給できなかったっけ~?などと大変だったことばかり思い出されました。しかし、今回はどちらかといえば、ベンやエイジ、マリが物語の中心ではなかったので、前回ほど大変なことはないだろう!なんて思っていたのですが、・・・甘い考えでしたね。舞台袖に行ったのって・・・何分?少なくとも、一時間以上水分補給できなかったような気がするよ?
さらに、前回公演から私に大きな変化が生まれておりました。三年前の私は、99%のアルコールと1%のヤニでできておりました。しかし現在・・・100%のアルコールでできているのです。そう、禁煙しました。「あんなに舞台上にいたら、煙草が吸えないじゃないですか!是非、舞台上で煙草を吸いましょう!」なんていう超わがままから出来上がった前回作品だったのに、言いだしっぺ煙草をやめる!というなんともありえない展開。・・・まぁ、21世紀美術館では吸えなかったから、私の責任ではないのですが!次回、白黒をやるときには・・・また、新たな方法を考えましょう!

「いいなあその体勢。てゆーか何かお困り?」

「小林探偵事務所。困ったときはいつでもどうぞ」

今回の公演は、セリフがそれほど多くなかったのですが、その分、どのタイミングでどのセリフを言うのかを覚えるのにとても苦労をしました。その場面の流れの中にいれば、自然と出てくるだろうと思っていたのですが、びっくりするくらい出てこない。正直、本番大丈夫だろうかという不安もとても大きかったのですが、無事に本番を迎えることができました。まぁ、不安は見事に的中したのですが。
初日公演の記憶を、日記を書いている今まで完全に消してしまっていました。あれほどのミスをやってしまったことが過去にあっただろうか。いやない。何ページセリフをすっとばしたのですかね。まぁ、洒落にならないくらいセリフをとばしてみました。周りが一生懸命にリカバーしようとしてくれているのですが、私すでに戦力外。もう、どのシーンをやってたのかすらわからない。次に俺が言うセリフて何?てか、今どこのシーンやってるの?全員で頑張っているけど、いっこうにどこをやっているのかわからない。わずかな時間だったのかもしれませんが、あれほど長く感じた時間はありませんでした。この場をお借りしまして、出演者の皆様のお詫び申し上げます。そのまま、最終日までトラウマになっておりました。

「何かの力が働いたんだよ。場内禁煙。美術館って凄いね」

「忘れたくないことも思い出せないのが、ホントにいいか?」

しかし、どんな状況であっても必ず初日を迎え、カーテンコール、そして千秋楽やと続いていきます。どの公演もいつも大きな不安から始まるのですが、最後はとても楽しくあったいう間だったなぁと感じます。すべてはキャストやスタッフ、そして、見に来てくださったたくさんのお客様の支えがあればこそです。次回はクリスマス直前公演!羅針盤サンタがきっと素敵なクリスマスプレゼントを皆様にお届けすることでしょう。また、たくさんの方に楽しんでいただければと思います。本当にありがとうございました。
制作部注:一体何ページ飛ばしたかは後日平田の日記にて!

「取ったーっ!」「お前かよ!」

「記憶は自分の証明なんだ!」