公演延期シリーズ③

「急にマジメな話してますね」
「まあ、たまにはいいだろうよ」
「ってアナタ突然こっち戻らないでくださいよ」
「舞台上なら高速移動が可能だ。俳優だからな」
「延期だって言ってんでしょ!」
「延期のお知らせ頑張ったけど、全員に届いたと思う?」
「えへへ、思わない」
「チラシしか見てないお客様とか」
「それですー」
「じゃあ当日?」
「劇場スタンバイかもー」
「楽しそうね」
「だって万が一お客様が来たらめっちゃ離れたところからごめんなさーい!って考えたらこんな顔になるだよ」
「劇場スタンバイか…」
「やるんですか?」
「一応、許可は取ってある」
「ついさっき石川県に緊急事態宣言出ましたけど」
「…変化のスピードについて行けないぜ」
「変化というかただただ悪化…てかまた同じ写真ですか」
「よく見ろ。今度は目をつむっているんだ」
「現実を直視しなさいよ代表」
「ねえ、俺はいつまで肩を揉んでるんだい?」
「情けないわねえ、刀ならいつまでも振ってるくせに」
「いや筋力的な話もそうだけど、景色が変わらないっていうか」
「確かに、そろそろ新人の北国さんとか見たいわね」
「でしょ?」
「まだよ」
「どうして?」
「どうしてって…決まってるじゃない」

「写真がいっぱいあるからよ!!!!!」
「…マジで?」
「いっぱいあるからよ!!!!!」

「待ってください。ここまでを数えると現時点で26枚目ですよ」
「そうね」
「そうねって、もう結構お腹いっぱい…」
「乾杯と牛タンは終わったかしら」
「焼き肉で喩えるのおかしい……まだ、牛タンだと…!」

「そう! だってこのペースでも4月中に終わるか分からないもの!」
「奥にいる代表泣きそうですけど」
「あれはネタ切れの顔よ!」

「まさかこの企画が、こんなにもゴールが見えないものだったなんて…春になってもこの格好だなんて」

「さあ、諦めて続けるわよ」
「諦めるのは前提なんですね」
「運命よ」
「ぐ…この場合諦めるのは、やり続ける僕らなのか、読み続けるお客様なのか」
「両方よ」

「平っさん!」
「…ぐー」
「起きろよ30枚目だぞ!」
「三枚目俳優の強化版みたいに言うなよ。照れるだろ」