●公演終了日記 孫悟空、ときに釈迦如来、青孩児、鎮元仙人、帝釈天(平田知大)

斉天大聖、孫悟空!

分身の術は寺嶋さんの直筆です。

おお、もう本番2日前じゃないですか。
ギリギリセーフ、とはもう言えないですが、『西遊記』を振り返っておきましょう。
初演は3人、再演は8人、そして今回は5人の出演。登場キャラクター数は……数えきれないですね。
元々メンバーがものすごく少なくなった時期に「じゃああえて無限に近い登場人物の作品を」という思い付きで始まった西遊記。初演の3人芝居でも大変だったのに、前回3人を8人に増やした結果、悟空の私はアクションが増加し、凄く…大変でした。ところがですよ、「僕はそうでも無かったです」「あたし立ち回り減って悲しかった」、能沢くんと矢澤さんから苦情が出たんですよ。嘘だ! 私は前回から舞台上のあちこちにタオルを仕込むことしか考えてなかったのに。袖に退場してドリンクのフタを開けた瞬間諦めてフタ閉じてまた登場!だったというのに、ヒマだと?

人々に真理を伝える坊主を探せ。

紅孩児さんよ、見逃しちゃもらえねえだろうか。

というわけで今回は、8人から5人出演に減ったにも関わらずキャラクターは減らさず、むしろセリフもアクションも増えるという真逆な仕様となっておりました。
「せっかく分厚くした物語を削るなんて後ろ向きなことはしない!」
業が深いとはこういう時に使うのでしょう。
いやあ…ざわざわーずを忙しくしてやったつもりが、私もしっかり増えてました。カンフーサークル武練隊の2人も増えてました。何だろう…回を重ねるごとに大変になっているのは、輪廻は円環ではなく螺旋なのか。それを5人が望んでいるのか。むしろ物語が望んでいるのか。真面目な三蔵さんが望んでるんじゃねえかな。
武練隊の志波さん麻衣子さんに至っては、恐ろしい数の武術を体得して待っていました。「そろそろまた西遊記を」「お待ちしてました」…カウンター気味にレッスンが始まりました。弟子の私達は師範を信じ、与えられた課題をせっせとこなす。Aを習う→Aを稽古する→Bを習う→AとBを稽古する→Cを習う→AとBとCを→Dを→AとBとCとDを!「どうですか師範!」「…普段の教室でこんなに稽古させてないです」…おーいっ! 止めてよ! 師範! 俺達馬鹿みたいにカンフーしてたよ! 稽古場の床踏み抜くかと思ったよ! てか台詞の稽古忘れてたよ! 平田矢澤能沢、3つの心が1つになった瞬間でした。そろそろ特技に「カンフー」が書ける気がしてきたなあ。

「鎮元に法蓮」「そう!」

対決、太上老君! うきゃっ!

お芝居というのは不思議なもので、2度と、同じ作品は生まれません。我々も変わる、お客様も変わる、何なら世界の流れだって変わる。変わり続けていく中で、変えられないものを探す。悟空達は偉いなあと、人間に戻った私達は思ったり。
進化し続ける『西遊記』、次は果たしてどうなるのか。
ご来場いただいた皆様、今回見逃した皆様、ぜひ見届けて頂ければ幸いです。
そして最後に、今回の旅にお付き合い頂いた皆様に、有り難う。
さあ! 明後日は劇場で待ってますよ!
(日記当番 平田知大)

迷うな三蔵! 天竺はもう目と鼻の先だぜ。

おまけ:楽屋の前で宿敵と仲良くパチリ♪