●公演終了日記 ジェド=マロース(平田知大)

サンタクロースを狩る男・ジェド

「お前こそさっきの拳銃でさ!」

『聖夜に2度目の鉄槌を』にご来場頂き有り難うございました。
そしてかなざわリージョナルシアター“げきみる”も終演となりました。皆様にお楽しみ頂けていれば我々も幸せです。
我々羅針盤も久しぶりのオフを満喫しております。ただうちの場合オフと言っても…とあるこども園さんでサンタ劇をやるとか、リアル脱出ゲームでJOJOの世界を喋りまくる司会をするとか、ヒーロー達に声を吹き込むとか、金澤侍館で義経芝居をするとか、…オフです。休暇です。

「そこで俺は言ってやったわけだよ」

「サンタクロースに関して誤解がある」

「それを偽善と言うんだろうが。東條!」

さて、3度目の上演となりました『聖夜』。スモーキンブラザーズを新たに迎え、3→4→6人芝居と相成りました。電子タバコと新しい武器でめっちゃ楽しそうな(実は大変そうな)川端くんと和田くんを尻目に、メインの3人は地獄の台詞量と戦っていました。特に“げきみる”だけでも『ナマミマン』→(4週間)→『CLOCK』→(2週間)→『聖夜』の能沢くんは脳味噌フル回転だったことでしょう。そんな能沢くんの疲れを癒すため、今作のカタリナはツインテールでした。ええ、スタイリスト矢澤による対能沢決戦兵器です。そして出番少ないと油断していた山本さんには舞台袖でサンプラー(効果音)というまた別の地獄が待っていたのです。本番中、ひたすら鍵盤と戦ってくれました(和田&能沢コンビニにも。東條のどこにそんなヒマが…)。え?今までと同じ役の私と矢澤さんは楽じゃないか?違うんですよ。台詞は確かに前世の記憶があるんです。ただその分なのか何なのか、恐ろしい手数のアクションが武練隊から来るんですよ。きっと『西遊記』の太上老君と二郎真君は、我々を俳優じゃなくて戦士に仕立てるつもりなのでしょう。有り難い。

「──バンコク」

「どっちも死んじゃうんですけど」

“げきみる”特別企画ということで、今回は3つご用意してみました。大変でした。大変でしたが、とても楽しい日々でした。
【ミニ公演】
羅針盤のお芝居作りを体験してもらおうと、週に1度レッスンをつけていたのですが…。私達は大きな間違いをしていました。週に1度の稽古ではうちの芝居は完成しない──。おのずと初心者にはハードルの高い要求が飛び交うわけですが、食らいついて来てくれた参加メンバー達のおかげで楽しいミニ公演となりました。
【公開稽古】
よく演劇で使われる、「ハイ!」と手を叩いて始める手法。実は羅針盤では使わないんですね。あーでもないこーでもないとシーンを相談しながらそのまま始まります。せ、説明が難しいですが空気です空気!そんな稽古の現場をご覧頂きつつ、ついでに楽屋も探検してもらいました。おかげでいつもよりグッと楽屋が綺麗でした。…趣旨を間違ってる気もしますが、何でも散らかすツートップの私と和田くんは気を引き締めていたのです。いつもよりは。
【バックステージツアー】
目まぐるしく動きまくる照明が一体どうなっているのか、舞台の裏はどうなっているのか、引率の川端くんと2人、ありとあらゆるところを説明した気がします。ついでにそのまま稽古&撮影会となりました。何かポーズを決めるたびに黄色い声が上がる、ええ、我ら一同至福の時間でございました。

「その名は…にんじん君!」

「お節介だな。お前の姉ちゃんは」

さて、公演で発表した通り、来年は毎月公演となります。本当に出来るのか?それは、1年後に明らかとなるでしょう。
5年前。私にとって、そして羅針盤にとって分岐点だった『聖夜』。大切な作品を三度上演出来る機会に恵まれて、さらに楽しい作品となりました。アンケートに書かれた、「次は10人で」という言葉にドキドキしながら(台本の一体どこにそんな隙間が…)、今年の戦いを終えたいと思います。
たくさんのご来場、誠に有り難うございました!
(日記当番 平田知大)

「馬鹿だと思ってんだよ。だから来い!」

「サンタクロースの赤い服は──!」