●公演終了日記 孫悟空・釈迦如来・あと5役ぐらい(平田知大)

「唵嘛呢叭咪吽!」

「その気高きそちの肉と魂、儂が人幻果としてくれる」

目下、『芝居小屋 羅針盤っ! 二の段』を書き綴っております。
実現するかは分かりませんが、全部で・・・おっと、これは文末までとっておきましょう。
誰ですか途中飛ばしてスクロールしようとしてるのは!
さて、『西遊記』。
私には悪い癖があります。そっちは駄目だろうという選択肢に、飛びついてしまうのです。
独立独歩、孤高を貫く、あえて茨の道を、ピンチをチャンスに!と言えば聞こえはいいですが、
ここで無理というのは猿にだってできる!
という妙な思い込みで突き進んでしまうのです。結果、
3人芝居で西遊記を!・・・なんてこったい(笑)
いつかやろう。勿論そう思っていました。
子供のころから好きだったお話を、たくさんの共演者と共に、悟空や八戒、悟浄が大立ち回り。
迎え撃つ妖怪たちだってそりゃあもう100人ぐらいで・・・舞台に乗りきらないか。
やるなら、今。
天啓です。たまたま、「こんな感じのセットはどう?」という話が出ただけなのです。
しかも皆酔っぱらいながら。でも、あれ? これって西遊記じゃね? 
いやいや、西遊記はもっとじっくりと、これって西遊記じゃね? 
いやいや、せめて三蔵・悟空・八戒・悟浄の4人で・・・と言い訳をするのも最早みっともなく。
むしろめんどくさく。
やるのは、今。

「三蔵よ、裏切りの修羅道に味方はおらぬぞ」

「駆け抜けること十万八千里、筋斗雲!・・・!?」

というわけでお届けしました西遊記。お楽しみ頂けたでしょうか。
敵も味方も全て3人で演じきる。
1人平均7役、20ちょっとくらいの登場キャラクターに囲まれて、
三蔵と悟空たちは天竺へと旅をしました。
作ってみれば、これがまあ楽しいこと楽しいこと。
どいつもこいつもとっても人間臭い。
そりゃあそうです。煩悩の塊しか出てこないんですから。
3人と、100人くらい。
舞台に人がいないなら、客席から出せばいい!
何を言ってるか分からないですが、ご来場頂いた皆様だけは、お分かりですね(笑)
100人くらい出したいなあという私の煩悩は、
有り難き皆様の有り難き叫びで実現しました。愛されてるなあ羅針盤。
強制的に叫ばせた気もしないではないですが。
勢い余って1対1のバトルが本当にひとりぼっちでした。
あー楽しかった! そして、たくさんのご来場誠に有り難うございました。

「来ると思ったよ・・・揃いも揃って阿呆の集まりか!」

「ホンマにパーティーやん!」

反対に、稽古の苦労話をば。
何が大変って、出演は3人しかいないのに、舞台上には常に5~6人ぐらい出ているわけですよ。
心の目です。今あそこにアイツがいて、そこにはコイツがいて、で、俺はどこにいるんだい?ですよ。
足の踏み場も無え・・・。実際には誰もいないんですが、舞台上はひしめき合ってます。
そして羅針盤の稽古と言えば「とりあえず台本放そうか」です。
覚えていようがいよまいが、共演者の顔を見るんだ。全てはそこにある。
台詞なんざ頼れるスタッフが教えてくれるぜ、さあ来いプロンプ!
(注:覚えていない台詞を教えてくれる誠に有り難い天の声)
「・・・漢字が読めません」
悪かったよ。悪かったって。読み仮名を振らなかった俺が悪いんだろう?
でもさ、ATOKだって読めない漢字に一個一個振ってられるかい。
頑張れよ女子高校生。こんなんじゃ受験の時困るぜ?読めないってどこさ?
「唵嘛呢叭咪吽」
・・・ゴメンて!
パンフレットのデザイナーさんに原稿送るときも、文字化けしまくり。
これだけは画像で送りましたとさ。

「僧玄奘三蔵法師。 お前はなぜ天竺を目指した」

「黙れクソ坊主! その不敬だけでも万死に値する!」

というわけで、振り返ったんだかどうだかな『西遊記』。
またしてもいつか必ずやりたい作品リストが増えてしまいましたが、一旦のお開き。
残すところは竹内風香さんの終了日記だけです。
しかし彼女は海外にバカン・・・修行に出ております。もうしばらくお待ちくださいませ。
次は芝居小屋シリーズ第二弾、12月にお会いできるのを楽しみにしております。
5つの物語をご用意して。
前回より増えた! そして、本当にひさびさに・・・おっと。

「お主に出会えたことを誇りに思う。よくぞ来た三蔵法師」

「来世の八戒悟浄を、来世の三蔵法師を俺は!」