●公演終了日記 男・木村・青野・オオカミ(平田知大)

私は犬が嫌いなのである。

なつくな!

お盆休みを利用して、ようやくと終了日記を・・・ん?
そうでした。私は『西遊記は』おろか、そのひとつ前『芝居小屋』すらまとめてないんでした。
おお・・・。なんてこったい・・・。
京都で開かれた同窓会、電車旅の道中に小説読みふけっていたのは愚の骨頂だったようです。
『畜犬談』
太宰治の朗読は、昨年の『グッド・バイ』に引き続き2作目ですね。
羅針盤の得意分野といえば、「身体を動かす」こと。
心を動かすにはまず身体から行動せよ、と信じているからなのですが。
あえてそこを封印し、真っ向から名作に挑んでみました。
演者は私と矢澤さんの2人。そして椅子が1つ。
「身体を動かすのは封印じゃなかったんですか?」
誰か劇団員が呟いたのが聞こえた気もしますが、私は言い放ちました。
「これは、椅子取りゲームなんだ」
かくして、椅子を取り合うべく、私と矢澤さんの過酷な稽古が始まりました。
他のオリジナル作品たちと違い、原作があるこの作品は稽古のスタートも早かったのです。
「2人芝居なんて滅多にない。真剣勝負だ!」
「はい!」
僕たちはまだ知らなかったのです。人生は、斜め上の展開しか起きないということを。

木村豆知識!

ざっしー♪

『古い屋敷に住まうもの』
このお芝居は、4人芝居です。いや正確には、「でした」。
建築士の女と、現場の男と、何故かやってきた女と、そしてあの妖怪さん。
ご覧になった方は途中で気づかれましたね?
あれ?・・・2人出てこない。そう、この芝居は急遽2人芝居になったのです。
いや!違いますよ!ちゃんといましたよ!ノミヨシのお母さんも、ざっしーも!
ただちょっとばかり姿が見えなかっただけなんです。
そう言い張るために、怒涛の台本修正と、激闘の稽古が行われました。
ある意味一番苦労したかもしれない。
だって、聞こえないはずの台詞を聞くんだもの。
稽古中、次の展開が分からなくなる俳優たちにスタッフから指示が飛んできます。
「今、ざっしーが話しかけたんですよ」
聞こえねえよ!
「聞こえないんですか?」
聞こえますよ。ええ、聞こえてますよ。
私が聞こえないでどうやってお客様が聞こえるんですか。聞こえるようになってやりますよ!
「あの、2人芝居なんて滅多にないって」
うるさいよ矢澤さん!俺だって予想外なんだって!
普段の羅針盤とまるで違う作品になったこの作品。苦労のせいか、愛情もひとしお。いつかまたやりたいなあ。

俺たちは、紫団だ。

忘れてた!

『秘密結社“取調室”』
以前在籍していた猪俣智則君をゲストに迎え、ほぼ二人芝居。
寺嶋さんにはちょいちょいその邪魔をしてもらいました。
この物語は、男2人が腹の探り合いをしながら進んでいくわけですが、
稽古場からずーっと腹の探り合いでした。
・・・「お前、一体どこまで台詞を覚えているんだ?」
そうなんです。膨大な情報量の台詞たち。そして2人だけの会話劇。
つまり、相手が喋り終わるともうこっちしか喋る人はいないんです。
何を話すか思い出せなくても、自分の番なのです。
おまけに、相手の台詞が正確なのかも保証がない。
私も大概ですが、猪俣君も涼しい顔で違うことを言ってきます。
まさに、キツネと狸の化かし合い。あるいは、馬鹿試合。
必死に台詞を繋ぎ稽古を進めていくと、残りの記憶を全て吹き飛ばしに来る寺嶋さん。
手を変え品を変え、毎度毎度小ネタをガンガン投入してきます。
「寺嶋さん、お客様より先に俺達を笑わせようとしてないですか」
言うな!こういう役を与えた寺嶋さんは共演者じゃなくてむしろ敵だ!
まさに頼れるのはお互いだけ。
ゲストの猪俣君は、本当に頼れる男でした。これもいつか是非やりたい。

わらのおうち、きのおうち、そしてレンガのおうち!

チビオオカミくん!

『さんびきのこぶたと』
お茶やお菓子と共にお芝居を観る。なかなかそんな機会ってないですよねえ。
今作は子供達だけですが、お茶やジュース、そしてお菓子を配って上演してみました。
そして子供達がお菓子を手に持ったまま食べるのを忘れてこっちを観てくれる。
なんて幸せな瞬間でしょうか。
しかも子供たちの声で台詞はどんどん追加修正されていく。
まさにライブな作品でした。
「こうなったら、俺のとっておき、体(当たり・・・」
「どっしんー!」
「突進だ!」
あー楽しかった。
そして実は、目下この作品は稽古中です。
来月3日、能登半島は田鶴浜にお邪魔して上演してきます。
保育園×2。×2?
朝行って保育園でセット組んで上演してバラシて「移動して」次の保育園行ってセット組んで上演する。
おお・・・不可能を可能にするスケジュールだ。毎年恒例ですが(笑)
不可能を可能にする。これがお芝居の醍醐味だなあと思う次第です。

本番前のミーティング。

12月、再びここでお待ちしております。

ともあれ、『芝居小屋』はシリーズ化の運びとなりました。
「そこに行けばいろんなお芝居を観ることが出来る」
12月はまた色んな羅針盤をお見せできることでしょう。
1週目と2週目、週末のスケジュールは空けておいてくださいね。
あ、『西遊記』について書くの忘れた・・・。