● 公演終了日記 密売人イーグル(佐武寛之)

「2万(みゃん)円。30円でもいいよ」

ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。『Hunting High & L(o)aw』 にて 「密売人イーグル」 を演じさせていただきました、佐武寛之です。
僕にとって久しぶりのキャストとしての公演でした。前々々作 『暁のハカナ』 ぶりなので・・・約1年ぶり!! 1年間も舞台に立っていないという実感はあまりありませんでした。半年ぶり?くらいな感じでした。
さてさてそんな僕ですが、今回の密売人イーグルのような「単発で登場する」というか、「話の本筋から少しずれたところを歩いている」ようなキャラクターを与えられたのは初めてでした。
出ているシーンもわずかで、なかなか本編に関わろうとしない彼がこの作品中でどんな役割を果たすべきなのか、どうすれば他のキャストにとってプラスになるのか、必死に必死に考えました。それこそ虫歯が痛くなるくらい。その結果・・何も考えずにやってみようと思いました。はい。羅針盤のお芝居でこんなチャンスはなかなか無いと思うのです。だって扉や木でさえ動いてしまうような物語ばかりですもん。今回は、上手くいけば木よりも無心でいられるかも!そう思いました。(笑)

イチコに情報を与えるイーグルは、

実はトーチの知り合いだったのです。

しかし、実際何も考えずにやるとどうなるか。
検察官の起訴状の朗読シーンにおいて、殺害の再現VTRが3回繰り返されたのを覚えてますか?そこでイーグルが銃の名前を羅列するんですが、最後の一つだけ銃の名前っぽくないものを混ぜてたんです。
順番に、「パラグアイ」 「ストイコビッチ」 「ザッケロー二」(←これだけ別のシーンですが)です。ところが、何も考えていない佐武はこの台詞を思い出せません。「最初はパラグアイだよね?」とか、「今からストイコビッチですか?」と目の前の平田さんに心の中で聞いてみたり。別のだれかの名前を叫んでしまうこともありました。
これは危険だ!ということで方向転換。自分が思う一番面白いことをやってみよう!最初からそうするべきでした。(泣)例えば小道具のメガネをずらしてみたり、髪をオールバックにしたり、「背中に悟〇の亀〇流みたいなマークつけて!」と衣装さんにねだったり。登場シーンの直前まで、もっと面白い動きはないか考えたり。その結果、危うく大事なイーグルのラストシーンに出遅れそうになりました。すみません。

衣装さんにおねだりした衣装

イチコのピンチに駆けつけた男

劇場オフショット「舞台で出会わない」

ここで少し裏話です。物語の後編で出てきたヒットマン。イーグルと同一人物だったわけですが、実は初期の台本ではイーグルとヒットマンが同一人物という設定はなく、僕の役はヒットマンのみだったんです。いつの間にか彼らは1人になってたわけですが。そうすると、トーチが殺人に使うことになる銃を売ってしまったイーグルは、自責の念に駆られヒットマンとしてイチコの身を守ることを自ら申し出たのではないか。サイトーが電話でヒットマンに「最後はお前に任せる」と言ったのは、イーグルが後悔を雪ぐことができるような機会を与えるためだったのではないか。などなど考えられるなぁと、今思いました。(笑)えへっ。
改めてご来場いただきました皆様、ありがとうございます!終演後の温かい拍手から元気をもらって4公演乗り越えられたと思います。スタッフの皆さん、助けてもらってばかりでした。ありがとうございます!
そしてキャストの皆さん、本当にありがとうございます!とても楽しかったです!!

久しぶりの立ち回りでした。

こんなシーンも・・・暗闇で見えないけど。

ここからはどうでも良いお話ですが、この場をお借りして・・僕は今年の夏から1年間、北欧フィンランドに旅立つ予定です。あくまで予定です。劇団のお手伝いをしてくれていた高校生の子には「芝居学んでくるんですか?!」と夢いっぱいの質問を貰いました。ありがとう。でも違います。そんな素敵な感じだったらいいんですけど・・・僕は現在大学生なので、それを利用して格安で留学しちゃおうぜ、という計画です。
それに伴って、去年春ごろに僕は劇団羅針盤を退団させていただきました。劇団が忙しい時期だったにも関わらず、快く承諾してくれた平田さんに感謝してます。また、今回突然出演することになった僕を変わらず迎えてくれた劇団員、スタッフの皆さんに感謝してます。
これから先は留学の準備のため戦力外になると思いますが、留学から帰ってきて、またいつか羅針盤の舞台に立てたらいいなと思っています。
そのときは皆様、何卒よろしくお願いします!

劇場オフショット「稽古中の2人」

「台詞忘れました!」「ばかもーん!」