公演終了日記 応真先生そして魔王

『教室に先生と勇者』にご来場いただきありがとうございました!
あっという間に年末ですね。ようやく筋肉痛が消えました。嘘です。若者達のスピードに振り切られぬよう必死の抵抗を試みましたが、若干砕け散りました。かくなる上は、雪かきでリハビリするのみです。皆様も雪道お気をつけて!

さて、能沢監督のドキュメンタリーにてタイトル誕生の秘密が解き明かされましたね。これは迂闊なことが書けない! 何せ今後アップされる続きの動画に真実が記録されているわけですから。しかし…正直もう記憶はボンヤリです。そもそもどうして勇者ものをやろうと思ったのか。

ええい! 忘れたものは仕方ない。「ラストは応真先生の最初と同じ台詞で」これだけは最初から決めてました。起承転結の起と結です。転も割と早かった気がします。出欠の秘密ですね。あとはその間を埋めていくわけですが…。書き殴ったアイデアノートによれば「担任の先生(実は○○)」「生徒(実は勇者)」「社会?の先生(実は○○)(そしてさらに○○)」「番長(実は○○)(おまけに○○)」……秘密が多いな!

今作は4人全員に秘密があり、俳優達にはそれを先に伝えた上で稽古が始まりました。ええ、まだ台本5ページぐらいだったのです。「きっとこういう話になると思います!」

あ…今思い出した。オープニングのオープニング、最初に4人が叫ぶ台詞は全然違ったんだった。爽やかすぎて気持ち悪いとか言われて没にしたんだった…。そうだね。羅針盤らしさってあるよね。

ゲストのお二人にお願いした「羅針盤流を要求することも勿論ありますが、それでも基本は各々の流派で」。結果いつも以上にアイデアだらけ。誰も彼もが暴れ馬。台詞をどんどん書き足す私と、それを上回る勢いで言い足してくる俳優達。通し稽古で物語の根幹に関わるひと言をポロッと足した加藤には正直負けたと思いました。

自由の筆頭にいたのは魔人達。台本が固まる前がチャンスとばかりに、炎の魔人は歌舞伎口調で見得を切り、氷の魔人は語尾に「おじゃる」をつけ始め、風の魔人は何処吹く風と毎回自由自在。個性豊かすぎるキャラが大渋滞を起こし、非常に楽しい贅沢な現場でした。そうそう、パンフレットに書かれた俳優達のコメント。書き出しは全員…?

勇者vs炎の魔人なんかは、流派が違う剣劇で非常に新鮮でした。私も元は同じ流派だったはずですが、互いに進化を遂げていたようです。遠くへ来たものです。

黒板は『三日月』からの復活でした。懐かしい。取っておいて良かった。そして、

「舞台中央には時計が欲しいんだ」「時刻の指定あります?」「うーん…特にないけど」「じゃあ見栄えのいい10時10分で」「了解!」……そこから数日、必死こいて10時10分が必然になるようシナリオを直したことを覚えています。出てきたアイデアをなるべく拾うこと。自分に課した縛りが私を苦しめるのです。けれどここでオープニングのオープニングが上演版になったのです。あー良かった。さらに、

舞台右手に目立っていたアレ。「はいといいえが欲しいんです」「じゃあ稽古場のこれ使っていい?」「余ってますが…網戸?」「アルミ枠はすぐ切れるよ」「すぐ切れる?」職人さんには驚かされることばかりです。そしてすぐ出来てました。早業すぎる…!

劇団羅針盤始まって以来の少人数体制だった今作も、気がつけば衣装に設営に受付にと本当にたくさんの仲間達が駆けつけてくれました。後説で語った「久々の羅針盤らしい作品」は、多くの力とお客様の熱で支えられておりました。客席から戴いた拍手と笑い声は、これからも我々の力となることでしょう。「羅針盤を観て元気が出ました」いくつもいくつも戴きました。元気になったのは我々の方です。

そして悪天候で来られなかった方、体調を崩された方、行けなくて申し訳ないと連絡までくれた皆様。素晴らしいお客様に恵まれて我々は幸せです。どうかお気になさらず。次回の舞台で、あるいはもっと先の舞台で。再びお目にかかれるのを楽しみにしております。

かなざわリージョナルシアター2021“げきみる”は昨日終幕いたしました。8週に渡る演劇祭にお付き合いいただき誠にありがとうございました。羅針盤だけではなく、石川県そして北陸にはこんなにも演劇が生きているのだと感じる日々でした。

「演劇あふれる街」を目指し、劇団羅針盤はこの娯楽をこれからも大切にしてまいります。感想カードに書き忘れたことなどありましたら、ぜひ“げきみたの木”へお書きください。ひと言だけでも勿論構いません。我々も楽しみにしております。

最後に、素晴らしき俳優達を快く送り出してくれた劇団KAZARI@DRIVEとcoffeeジョキャニーニャに、心からの感謝を。

(日記当番 平田知大)

“公演終了日記 応真先生そして魔王” への1件の返信

  1. 今年もあと1日と数時間…。外は氷の魔人パワー炸裂でおじゃる。そろそろ、魔人パワーはおさまら…ないようでおじゃるなぁ…。昨日、仕事納めだった私は、ちょいとアルコールなんぞを飲みつつ、公演終了日記をすべて読み、はたまた羅針盤ロスとなっております。(あっ氷の魔人様。パワーは日記を書く方に使ってくださーい(笑))
    皆様の役に対する暑い…間違えた(汗)熱い気持ち。衣装。稽古場での熱量も思い出してロスは続きそうです。羅針盤ワールド全開に笑いすぎて顔の筋肉が痛く、笑いすぎて泣けてきて。間宮さんも朱門さんも羅針盤にゲスト出演ではなくて羅針盤所属のような空気感で、息ピッタリでした。パイプ椅子ではなく、コロナ前のように座布団敷き詰めて、もっともっとたくさんの方々が入れる日が戻ってきたら、再演お願いいたします。その時、土の魔人の小さな人形をどこかに座らせてあげてくださいね。四天王!!と叫んだ時に3人じゃないもーんとそこを指差してほしいです(笑)
    旗揚げから見てきて、いつもいつも客席から見てるだけだった私。衣装の大変さを体験し、当日の感動は忘れないです。こちらこそ、ありがとうございました。来年はジョキャさんの間宮さん、KAZARI@DRIVEの朱門さんも観ることができますように。
    では、皆様。
    よいお年をお迎えください。

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