公演延期シリーズ⑧

「なるほど、人形に追われてたんですね」
「正解」
「いいなあ人形劇。可愛いし楽しそうだし」
「ねえ北国さん」
「何ですか」
「そのヒラヒラ、何」
「自主練習です。稽古無いけど頑張ってます」
「…早く収束しないと、新人があさっての方向に進化するぞ」
「あたしはいいと思う」
「寺嶋さん!」
「そんなに気に入ったのか? そのジュリ扇」
「ジュリ扇?」
「ジュリアナの」
「ジュリアナ?」
「バブルの…いや、何でもない」
「平田さんの若い頃流行ってたんでしょ」
「違うよ。俺の若い頃はもうちょっとだけ後だ」
「一緒ですよ一緒」
「木村さんまで…この、初めて持った携帯がスマホ世代!」
「羅針盤のお客様って、本番中にスマホ鳴りませんね」
「ほぼ鳴ったことないなあ」
「本当にありがたい」
「ありがたい…これ今後のお客様にプレッシャーかけてません?」
「かけてないかけてない」
「むしろ俺達だって他の劇団見に行くときが緊張だよ」
「俳優として絶対に鳴らすわけにはいかない…」
「ところで新しい企画のお話しなくていいの? 15」
「う…うまくやれるか自信が無い」
「そんなこと言ってると、ああ、羅針盤も守りに入ったんだなあって言われるわよ。15」
「寺嶋さんってにこやかに攻撃してきますね」
「マスクなのに分かるんですか?」
「分かる」
「だって楽しそうだもん」
「15」
「新たな企画とは、羅針盤クルーによるぶっちゃけトークだ!」
「お題はどうするんですか?」
「これを見ているお客様から頂戴しようと思う」
「例えば“本番中のびっくりハプニング”とか、“台詞の覚え方”とかですね」
「何でも来い!」
「本当に来ますかね」
「不安だからこうして顔を隠して喋ってる」
「マシュマロとか質問箱とかですかね」
「ハッシュタグぐらいでいいんじゃない」
#羅針盤に聞いてみたい とか?」
「恥ずかしい人は #素朴な疑問 とかにして世界中に紛れ込ませる手もあるわね」
「なるほど、羅針盤に聞いたわけじゃないよー的な」
「そう。13」
「…この前からその数字何です?」

「早速質問来ました!」
「やったー!」
「ハッシュタグでもDMでも何でも大歓迎。12」
「12…まさか」
「川端君が撮ってくれた通し稽古写真、あと12枚しかないの」
「まずいまずい」
「すること無くなりますね」
「それ言うなよ」
「質問あんまり来なかったら?」
「でっち上げる!」
「言い切るなよ」
#羅針盤に聞いてみたい 、意外と質問もらえますね」
「意外とは余計だ」
「でもそんなに多くない…?」
「照れ屋さんなんだ皆」
「…顔を隠して言っても根拠無いですよ」
「いいんだよこのぐらいで、準備大変なんだぞ」
「そういえば金沢市からコロナで困ってる芸術文化に」
「うちは対象外だ!」
「対象外? うちは芸術じゃないってことですか!」
「有り体に言えばそうだ」
「芸術村で公演してるのに?」
「あんまり掘り下げると色んな人に怒られるからやめなさ…そのポーズでよくも言ったな!」
「…芸術的じゃないですか!」
「すごくいいと思う」
「寺嶋さん変な褒め方しない!」
「それで、いつから稽古再開するんですか」
「それなのよ。いつがいい?」
「タイムマシンで調べてきたいです」
#羅針盤に聞いてみたい で聞いてみる?」
「自分たちの疑問を自分たちにぶつけてどうするんですか」
「嘘嘘、冗談よ。9」
「9…!」
「これは本当」