

「さっきのまた同じ写真でしたかね?」
「平っつぁんはね、お客がいないとすぐ眠るのよ」
「…じゃあ稽古と本番で全然違うじゃないですか」
「許してやって。今日は…ほら」
「ああ…幻の公演初日ですね」
「間もなく開演、正確には」
「開演でした」
「残念ね」
「本当に」

「さ、今日も張り切って開場しないわよ」
「やけくそに朗らかですね」
「いいお天気だもの。舞台日和♪」
「寺嶋さんって晴れ女なんですよね」
「そうね、あんまり傘持たないわね」
「雨のときはどうするんですか?」
「えいやって念じるの」
「…えいや?」
「しばらく止むわよ」
「…えいや?」

「舞台上なら高速移動出来る代表と、天気を操れる参謀…この劇団、変」
「何言ってんだ、能沢君なんか稽古場ロッカーの半分をウルトラマンのジオラマにしてるぞ」
「…変」

「安心しろ。ここに入った時点で“類は友を呼ぶ”だ。君も同類に違いない」

「って代表がひどいこと言うんですー!」
「…そうね(私も思ってたなんて言えない)」
「しかも変な踊りしながら」
「…そうね(私も思ってたなんて言えない)」



「もう何が起きても驚かなくなってきた…あ、代表からLINEだ」
