●たまにはちょっと真面目な話を。

春は別れの季節。先日行きつけの焼肉屋さんで開かれたのは羅針盤送別会。そう、皆旅立っていくのです。高校生は大学生へ。大学生は社会人へ。間違いなく羅針盤の一時代を背負ってくれた4人が旅立ちます。
富田沙樹、増村茜音、山本理央、そして猪俣智則。

三人娘が羅針盤の門を叩いたのは2年前。まだ彼女たちは高校1年生でした。先輩の和田君に連れられ(彼も当時まだ高2!)、稽古場でレッスンをしたのが始まりです。
それからは演劇部の公演を羅針盤で観に行ったり、私がちょいと関わった劇団不完全燃焼さんの旗揚げに沙樹と茜音が出演していたり(あ、ここに能沢君がいましたそういえば!)、羅針盤の小道具やら衣装やらスタッフをしてもらったり。そしてついに、芝居小屋羅針盤二の段・演目N『そして風は吹くか』で羅針盤公演に出演。劇中で結成した女子高生アイドル「たらんちゅらん」には何故か矢澤さんが混ざっていた気もしますが・・・ともあれ、サードシングルの発表は当分先になったようです。
さらには昨年の『剣劇7』。もともと茜音のみの出演予定が、この悪い大人は気が付くと沙樹や理央に助けを求めていました。開き直った覚えがあります。「頼れる奴らをアテにして何が悪い!」・・・悪い大人です。なんせ彼女たちも高3、受験の夏に差し掛かっていたのです。その後こっそりひたすら受験勉強を見ていたのは内緒です。羅針盤に入団すると私の数学講座が・・・いえ、何でもないです。自由だったり、情熱的だったり、悩みながらも前を向いたり。駆け上がっていく姿は、むしろ大人達を支えていたものです。

猪俣君は歴代の劇団員でもかなり特殊な付き合いでした。本公演『SLASH NUMBERS』に出演したのち退団。と言いつつも、朗読劇『グッドバイ』、芝居小屋『秘密結社“取調室”』、芝居小屋二の段『白玉は3つまで』。少し空いては出演し、また休んでは出演してもらっていました。我々にとって、頼りのワイルドカードだったのです。おまけにイケメン。何度もアンケートに踊る「猪俣さん毎回出て欲しいです」という文言に、「俺だってそう思っとるわ!」と叫んでました。さらにはウルトラマンスタジアムでの声出演。東京へ行くギリギリまで収録に参加してました。もとい、東京に引っ越して、一旦戻ってきて収録、再び夜行で東京へでした。今夜が最後の最後です。でも昨日の稽古に顔を出して、再演『取調室』で二代目を務める川端君にアドバイスしてくれました。ついでに劇中の苦労を分かち合ってました(何が大変なのかは、再来週の本番をご確認くださいね)。最近ちょくちょく会いすぎて、今夜が最後、という感じがまるでしない締めくくりでした。また来週、ぐらいの感じです。風と共に去りぬです。それでも稽古場だったり、スタジアムだったり、名残惜しく眺めているのが彼の出来る男たる所以なのでしょう。

春は旅立ちの季節。どの名前も私のパソコンからは一発変換出来てしまいます。たくさん助けてもらいました。世話になったのは私の方です。というわけで、劇団員一同ひたすらに肉を喰らいました。特にお涙頂戴な会にならないのが、良くも悪くも羅針盤なのでしょう。残る我らは帰る場所を守るだけです。4人の前途に、勿論我らの前途にも、楽しいことがたくさんと、時々は試練がありますように。・・・越えられる程度で。寂しくなるが、さらば!
あと、たまには帰ってきなさいよ。
(日記当番 平田知大)