●公演終了日記 孫悟空、ときに釈迦如来、青孩児、鎮元仙人、持国天(平田知大)

「斉天大聖孫悟空!」

釈迦如来「人々に真理を伝える坊主を探せ」

劇団羅針盤『西遊記』にご来場頂き誠に有り難うございます。
パンフレットにも書きましたが、今作はもともと3人芝居でした。それが・・・ねえ?
思えば初演は羅針盤始まって以来の人数不足の中、「人がいないからこそたくさん出そう」という天の邪鬼な私の悪あがき作品でした。ところがその前後からあれよあれよと人が増え、稽古場に若者が泊まり込んでいるのが当たり前となり、羅針盤始まって以来の充実の日々となっています。どいつもこいつも稽古ばっかりしやがって・・・なんて芝居バカな奴らなんだ。勿論、私を含めて。そんな芝居バカばかりで創り上げた空想活劇『西遊記』、皆様にお楽しみ頂けていれば心から幸せです。
3人芝居から8人芝居へ。無理に世界を広げたはずでしたが、もはや3人芝居が思い出せないほどしっくりと。
苦しんでいたのは私と矢澤さんと竹内さんの初演組。何しろ「初演のときはその台詞俺だったんだよ!」です。つい口から出そうになるのです。今回は劇処ということで11作品が連続上演でしたが、我々の合言葉は「俺たちより稽古したところはない!」でした。勿論根拠もないのであくまで「多分!」ではありましたが、そんな気合いの言葉が出るほどに、汗を流した稽古場でした。

孫悟空「畜生道だろ。猿に出会ったんだから」

孫悟空「覚えてないんですかい。白い子豚に緑の河童!」

そう、汗と言えば。
今回は生まれて初めて、舞台上にタオルを持ち込みました。それも5枚。舞台袖に2枚、舞台上の陰に2枚、そして八戒の和田君が如意棒を私に持ってくるときに一緒に1枚渡してもらってました。台詞言いながらタオルで汗を拭く悟空。・・・前代未聞です。開演前に私が袖に用意するものは、如意棒・巻物・飲み物3本・タオル5枚。どんなセッティングやねん。何しろ汗がですね、まさに滝のように出るんですよ。いやご覧になったお客様に説明する必要など全くない気がしますが。オープニング直後から光ってましたもんね私。汗によって物理的に。「汗と涙と唾、芝居は汁飛ばしてナンボやで平田君!」駆け出しの頃、先輩女優・劇団KAZARI@DRIVEサイトウキヨミ姉さんに教わったことが今まさに身についてきました。唾は控えめにしたいなあ。

孫悟空「ぶーぶー言うなよ、うるせえなあ」

孫悟空「嘘だろ。おやじどんがこんな・・・!」

総合カンフークラブ武練隊の師範、志波氏とは17年近い付き合いです。今でこそ舞台で対決しまくりでしたが、かつては全くの素人同士、何だかもやっとしたアクションをしていた気がします。それが劇団の代表と、武練隊の師範と。人生は面白いもんです。またぜひ戦いたい。
刀振って回し蹴りしてついに如意棒&カンフーまで。
羅針盤はすっかりアクション劇団になって来ました。いえね、アクションのない作品だってホントは好きなんですよ。ただ根本に「何かに立ち向かう人々」を描こうとした結果、ついつい何か武器っぽいものが出てくるんですよ。まあ、人生とは戦うことですからね。多分。そうそう、能沢君に続いて稽古場の蛍光灯を叩き割ったのは私です。目下羅針盤撃墜王コンビとなっております。早く!誰かトリオになろうよ!え?近々長い武器を持った役が俺になる?・・・次も俺かあ。

孫悟空「そして最後に皆で、その他石ざるだ」

孫悟空「・・・気づいちまいましたか」

そんなこんなで劇団羅針盤、地獄の2017年が幕を開けます。
・・・最初の1か月は休暇です。この後は多分無いです。
「もっとたくさん公演してください」「もっと羅針盤が見たい」「ファンミーティングとかないの?」
アンケートに書かれた呪い・・・じゃなかった有り難いお言葉に応えてみるといたしましょう。
皆様と舞台で出会うこと。それだけが我々の存在意義なのですから。
まずは4月8日、芝居小屋羅針盤にて、皆様のお越しをお待ちしております。・・・その前に。
来週は川端大晴がらくだ☆カゲキ団にて『獣の郷と獣売り』をhttp://rakudanokai.web.fc2.com/。
3月は和田和真・能沢秀矢が劇団不完全燃焼にて『サンジュウシ』をhttp://www.fukanen1004.com/。
そしてもしかすると同じく3月、羅針盤も何か・・・おっと。
ともあれ!どうか皆様、より一層駆け抜ける劇団羅針盤にお付き合いください。
皆様にとっても、勿論我々にとっても、楽しい日々の始まりです。
私も寂しいですが、空想活劇『西遊記』はまたの上演までしばしのお別れです。次は・・・15人ぐらいで(笑)
あれ! 太上老君だけまだ終了日記書いてないぞ! まあ、そのうちに。
(日記当番 平田知大)

持国天「貴様はもはや、天をも乱す悪鬼羅刹の如し!」

孫悟空「お師匠様、お元気で」