ああ! 公演が終わって地獄のゴールデンウィークを突破してちょっと呆けていたらこんなに時間が経っておりました。
さて。『芝居小屋羅針盤っ!──やっぱりそれでも劇が好き──おかわりっ!』にご来場いただき誠に有り難うございました。何故か50.5回と銘打ったこの公演、1年以上温めていた『住めば都』、思いつきの雑談から始まった『石川を』、我々も楽しい2作品でした。そしてこれまた何故かマスクをしたままの上演となりましたが、皆様に笑っていただき本当に幸せでした。
『住めば都と誰が言う』
会場である里山の家を何かに見立てお芝居にする。これまでも旅館だったり、座敷童の家だったり、遺産に揉めるお屋敷だったり、色々やってきたわけですがついにアパートです。松と竹の部屋、玄関に掲げられていた「ラオーレ荘」、皆様気づきました? え? たおれ荘だった? 誰かのイタズラですねきっと。
ラオーレ荘看板の製作は元団員の蒼竜くんです。発注したのは3月ぐらい。2020年の。そう、作りかけのまま1年間も彼の家にあったのです。「すっかり待たせたが…作業再開で頼む!」とお願いしました。
劇中では懐かしい声も流れましたね。岡本真吾くんです。これもまた収録してから1年もデータがそのままという…。つまり1歳分若い声でした。確かに撮ったはずの収録風景写真が見当たらないのも、時の流れを感じさせますね。弟子の能沢君にマッサージさせている写真だけ何故か残ってました。
そうそう、北国さんが入団したての頃に書いたもんで、カトリーヌの出番が少ないんですよね。ほら、初舞台はなるべく難易度を上げずに…結果先に『SCENE』があったり、『おかたづけ大作戦』があったり、『ホントゲキ』があったり…時空を越えて初舞台がやっと実現です。
『石川を、口説く』
隣の県ですら遊びに行きづらい昨今。福井行きてえなあ…富山行きてえなあ…なんていう雑談から誕生しました。
福井にかつて存在した武生市で育った私は、もちろん福井沢役。途中のエピソードは私の実話もチラホラあったりします。富山田役となった能沢君には一応お願いしてみました。「富山出身ってことにならない?」「ならないです」「今だけ」「ならないです」…そりゃそうだ。ちゃんとした男だよ。
途中の金沢弁は全て寺嶋さん監修です。台本には「 (かよさんにセリフ考えてもらう) 」なんて箇所もいくつか。ほら、私の金沢弁はニセモノなので…25年住んでるけども。そして物語に深く関わる「石川の女性あるある」は、図書館で県民の本をひたすら読みふけり、出会う人出会う人に教えてもらい、最後は寺嶋さん北国さんに熱弁してもらって辿り着きました。
唯一の小道具と言ってもいいぐらいの、箱。元々は『剣劇7』に出てきたでっかい立方体を使おうと思っていました。ずっと稽古場の天井付近に眠ってましたし。ええ、稽古始めた瞬間悟りました。デカすぎるわって。能沢工房に全てをぶん投げました。「パカッってなるようにお願い」。
次回公演、というにはだいぶ時間が空いてしまいますがお知らせしておきますね。
12月17~19日 かなざわリージョナルシアター2021“げきみる”に参戦です。なかなか落ち着かない情勢に、声を大にしてやります!とは言いづらい感じですが、収束を願ってじわりじわりと用意していこうと思います。幸い劇団員不足で稽古場はいつも少人数、能沢君と2人ぼっち稽古も多々あることでしょう。本音を言えば12月までに他にも何かやれれば…いや、全ては世の中次第。祈るばかりです。
ともあれ、無事に2つの作品が作れたこと。お客様に楽しんでいただけたこと。心から感謝申し上げます。
そして刻々と情勢が変わる中で残念ながらキャンセルとなってしまった皆様。どうぞお気になさらず。次の機会にお目にかかれるのを楽しみにしています。
それでは次の舞台で。ありがとうございました!
(日記当番 平田知大)