公演終了日記 平田と宮崎の照明音響対談

――2025年12月26日金沢市内にて――
平田:まぁ、まずはアレだね。ご挨拶。
宮崎:『芝居小屋羅針盤~年忘れの陣~』無事に幕を閉じました。ご来場ありがとうございました。
平田:楽しんでいただけたなら幸いです。2作品だって。がんばったねぇ。
宮崎:去年の背水の陣は3作品でしたよ?
平田:……がんばったねぇ…

① 【芝居小屋シリーズ】
平田:芝居小屋シリーズって外部スタッフさんに頼らないっていうのが僕らの中にあるんですよね。だから音響も照明も舞台も…まぁ舞台はね。ちょっとだけお手伝いさん来てもらってるけど、基本的には劇団員だけで作るっていう。修行のような…ね!?
宮崎:修行(笑)。芝居小屋はいつも里山の家でやってたんだよね。でもせっかくドラマ工房の免許も持ってるんだからそっちでも芝居小屋できるんじゃない!?ってなって。去年。
平田:その挑戦の結果、僕は大変忙しかった。楽屋係さんがね、僕が珈琲ばかり飲むからって大量に用意してくれたんですよ。なのに…
宮崎:なのに?
平田:…あまりに忙しくて! 全然飲みに行けないの。最初の一杯飲んだの、本番の日だった気がするよ。
宮崎:一息つく暇、あんまりなかったよねぇ。
平田:楽屋に行く→お菓子ひとつ口に放り込む→舞台に戻って作業の続き…みたいな。
宮崎:そうそう。
平田:僕が悪いんですよ。脚本書いて、キャストして、大道具(舞台)やって、照明も抱えてたんだから。なんだったら小屋入り前日まで僕、パンフレットも作ってますから。
宮崎:どれか誰かに回す??
平田:どれ欲しい?
宮崎:ん――。いらない☆
平田:おかしいだろ!(笑)。照明は学生の時から手作りしたりしてたし…まぁ好きは好きなんだよね。
宮崎:音響もやる?
平田:学生時代は寺嶋さんが歌う曲作ってたよ。キーボードで。
宮崎:えー!聴きたいっ!私平田さんのピアノ聴いたことない!
平田:だろうねぇ。最後が第2回『へその王』 。
宮崎:古い!
平田:舞台上でピアノ弾くと見えないんだよ。今自分がどのキーにいるのかが(笑)。暗転→板付きで弾き始め…見えねぇよ(笑)
宮崎:わかる!私も今回使ったサンプラーがキーボードになってるからさ。小屋入って、客電も本番仕様になって…「あ、暗いな。見えねぇや」って。
平田:蓄光テープ貼りなさいな(笑)
宮崎:覚えたもん!どのキーを押すとどの音が鳴るのかを!!
平田:そうなるけども!蓄光テープ貼りなさいな(笑)
宮崎:2回も言わなくても!!!

② 【華麗なる兄貴の明かり】
平田:とりあえず照明仕込み図とか見てみる?
宮崎:うわー、すでに懐かしい! まだ5日くらいしか経ってないのに…!
平田:今回は公演終わったあとに2日かけて撤収するっていう贅沢な…劇場空いてたからね!
宮崎:贅沢だった!本当にありがたい撤収日だった!
平田:1週間でやるにはウチ、人少ないからね。え、実質?
宮崎:8人。
平田:いやー、8人で組んで8人でバラすのはなかなか…劇団らしいけど。今回音照は基本この2人で作ってるもんなあ…あとは吊るときに小松くんがちょっといたぐらい?
宮崎:綱元に谷内くん入ってもらったり。
平田:照明のバラシをもっさんに手伝ってもらったのは懐かしかったよ。去年の背水の陣もそうだけどさ、ほぼほぼ平田宮崎でバトンを上げ下げして照明吊るしてっていう…まあ、時間帯によっては俺1人もあったかな。意外とね、1人でもなんとかなるんですよ。
宮崎:なんとかしちゃいけないと思うの、私(笑)
平田:まあ確かにシュート(舞台上の俳優に灯りが上手く当たるかのチェック)を人がいないときにやるもんじゃないね。出来た!と思って稽古するじゃない?そしたらある箇所に細ーい帯のような真っ黒ゾーンが存在しててねぇ!あれぇ?って(笑)
宮崎:影が出来てたんですよね。
平田:そうなの。床はね、キレーに明るいんですよ。でね!兄貴チームの皆さんはその真っ黒い影ゾーンに立とう立とうとするんですよ。そこに明かりは無ぇって言ってるのに。
宮崎:暗ぁいところに。
平田:明日には直すから今日は勘弁してくれやって思いながらねえ。明かりのないところ探さないで皆。
宮崎:いやいや、役者が立つところに明かりが来ていないのが問題なんじゃないですか?照明さん。
平田:いやいやいやいや、あと靴1個分前に立てば全員入って明るくなるんすよ。
宮崎:なんて融通の利かない人たちなんだ(笑)
平田:能沢くんの歌舞伎は悩んだなぁ。能沢くん演じる篠原がね、岡本くんの渡辺にずっと振り回されて、それがついに逆転するシーンでね。もう歌舞伎みたいに見栄を切って大笑いしながらやるんですけど…どんな明かりやねん何色やねんって、さんざん悩んで悩んで生明かりが一番似合うっていうね。
宮崎:あのシーンはね!!!背景に影ができてて…それがまたカッコいいのなんのって!!!
平田:緑じゃない青じゃない赤じゃない…とりあえず生でつけてみよう。…すると舞台の後ろにね、でかいノザが躍動するんですよ。結局どんな色もいらない、ヤツは生明かりがつきゃそれでカッコいいっていう結論ですよ。
宮崎:あれはほんとにかっこよかったよ。
平田:意味わからんよね(笑)。卓に“カブキ”って書いてあるんだけど…歌舞伎なんてないよこの芝居。なんだカブキって。
宮崎:どうですか?前回は出演した作品を今回は見る側になって。
平田:新鮮だったよ。前回は急遽代役になったから最初は岡本くんのトレースから始まるよね。ラスト付近はまだやってない部分があったからオリジナルになるんだけど…、トレースしてやった去年がある→今年見る→岡本くんが全く違うことをする…どういうことやねん!?とは思ったかな(笑)

③ 【照明さんの嘆き】
平田:兄貴のオープニングの能沢くんに僕は言いたいことがあるんですよ。
宮崎:なんでしょう?
平田:僕的にはね、兄貴のオープニング、能沢くんかっけぇ!って思ってね。まず奥の机のとこで“バンッ!”って始まるんですけど。最初机のそばしか明るくならないんですよ。で、能沢くんが喋りながら前に出るときに、部屋の明かりが少しずつ増えていくんですよ。最初後ろがついて、下手の前がついて、真ん中がついて。最後に上手の柱の前まで行くから部屋全体になる、みたいな感じで作ってたんですけど…本番ね、行かねぇの!
宮崎:あっはっはっはっ!
平田:ゲネはオシャレに決まったなぁ、ノザが歩くと明るくなる!モーゼか!って思いながら作ってたんだけどね。本番行かねぇんですよ。ええぇええぇ!?って。で、初日終わった後に能沢くんに言ったんですよ。「あそこ…上手前まで行かない?」。そしたら「あぁー…行ってなかったっすね。明日は行きます!」って言ったの。んで最終公演の二日目。行かねぇんですよ!!!
宮崎:(爆笑)行くって言ったじゃーん!
平田:そりゃあね、昨日に比べたら靴一個分は進んだよ?でもね、そこはまだ二つ目の明かりなのよ。
宮崎:もっと行ってくれ!
平田:仕方ないから本番中にプラン変えて、もっさん(渡辺)が入ってきたときにシレッとつけた (笑)だからね、オープニングの明かりに限っていえば、能沢くんの明かりはゲネプロが一番カッコいいっすよ。
宮崎:スタッフしか見れてない世界だ(笑)。あ、部屋の明かりってさ、オープニング始まったら一括で明るくなることが多いじゃない?なんで別につけようって思ったの?能沢くんの動きに合わせてつけていこうって。
平田:なんか…今回、キャラクターに色をつけたいなぁっていうのがあってさ。能沢くんの役の仕事って“あんま儲かってない・結構ピンチ”みたいなところから夕方のオレンジをいっぱいつけたかったんだよね。そこに佳代さんが入ってくると夜の紫で、みたいな。夜の蝶の元締めみたいな役だったからさ。で、その…オレンジって夕方…夕暮れに近いから、あんまりバーン!って明るいよりはちょっと薄暗い中から始まった方が、カッチョイイなって。部屋の一角だけがなぜか明るい、みたいな。どんな電気やねんってのはあるんですけど(笑)でもなんか…夕暮れがね、窓際だけ差し込んでてそこで仕事してて…顔に斜めに明かりが入ってたら能沢くんかっけぇなって思って、部屋を分割をしてひとつずつ、ひとつずつ!つけていったんですよ能沢くん!!!!どうなってるんだい!?
宮崎:根に持っていらっしゃる(笑)

④ 【たくさんのキッカケ】
宮崎:照明のキッカケは全部で何個あったの?(※キューとも言います)
平田:えっとね、兄貴の方で…40分くらいの芝居で83個かな。去年の倍近い。
宮崎:増えたね!!同じ脚本なのに。
平田:オリジナル版の力かな(笑)。で、家族会議の方が125で、兄貴の1.5倍くらい?
宮崎:おんなじ40分のお芝居なのに家族会議は多いんだね。
平田:あ、びっくりしたことがあってね。兄貴の本番中ね、照明卓のモニターでリストが進んでいくのよ。で、もうちょっとで終わりだな、台本上も83で終わりだしってときにね、モニターの下の方に84番がスタンバイしてるの。はちじゅう…よん!?
宮崎:なんで!?
平田:分かんない!台本見ても無いのよ84番なんて。ここには一体何がって思いながらも本番中だから押すわけにもいかないしさ。
宮崎:真っ暗になったら困るもんね。
平田:で、ぜーんぶ終わって確認のために84押すじゃない。何も起きないの。つまり83と同じ明かりが入ってた(笑)
宮崎:なんでコピーしてるのよ。
平田:これね、僕よくやるんですよ。台本で。
宮崎:台本で??
平田:そう。クライマックスを苦労して書き上げる→あー頑張ったってちょっとスクロールする→後ろの方にアイディアスケッチが並んでる。するとねぇ…あるんですよクライマックス!既に!!ほぼ同じ流れで書いてあるんですよ。既に!!!…これが年に1回くらいあるの。書いた記憶はないのに既にあるクライマックス。
宮崎:何も照明でもやらなくても(笑)
平田:えぇ、おっしゃる通りです(笑)
宮崎:照明見て思った感想なんだけど、前回に比べたら明かりがこう…
平田:シャープになってるよね。
宮崎:うん。前回はシンプルにここだけ・ここだけって感じの明かりだったもんね。
平田:3作品もやってるとね、兄貴専用の明かりなんて作れないって!共通なんすよ。灯体は全部で90個ちょっとしかないんだから…三等分したら30個しかないんだよ(笑)
宮崎:足りないねぇ(笑)
平田:足りないんすよ(笑)
宮崎:前回は三作品とは言え、主となる作品はヒーローショーだったしね。
平田:そう。しかも今回は舞台のベースがどっちも“部屋”だから共通してシャープに出来るの。でも前回は兄貴の“部屋”とヒーローショーの“舞台袖” と義経の“外”だったんだよ!
宮崎:あっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!
平田:安宅関は森なんよ。
宮崎:あっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!
平田:笑いすぎだ!

⑤ 【本番中・全ては役者次第】
平田:明かりは本番中に足したり減らしたりしてました。谷内くんそこに明かりはねぇんだわと(笑)。
宮崎:照明さんはそういった融通が利くよね。音響はさ、急に「このシーンBGMほしい!」って思ってもそうはいかないからね。効果音ならいざ知らず。
平田:今回あれでしょ?佳代さんが急に立ち回り増やしたんでしょ?
宮崎:そう!増やした!一手増えてた!!
平田:舞台上にいながら「あー、佳代さん立ち回り増やしたんだ。音響さんと相談して偉いなあ」って。…あれ急だったんスか。
宮崎:急でした。佳代さんが掃除機もって登場するシーンで。セリフ→はたきを1回振る→それに合わせて音が鳴る、って段取りだったんだけどね。見てたら2回振ったの。
平田:(爆笑)
宮崎:ひやっ!?って思ってね…音当てましたよ。
平田:僕も含めて…いいですか俳優さん。刀を振ったらね、音響さんは叩かなきゃいけないんですよサンプラーを。いいですか、急に振るんじゃあないの。
宮崎:よく反応したな、と!自分を褒めたい。
平田:えらいえらい(笑) 俺もどっかに書いたな、「役者次第」って(笑)
宮崎:見た見た!役者次第って書いてあった(笑)
平田:(台本をめくりつつ)兄貴の方だったかなぁ?喋ってから歩くのか、歩いてから喋るのか決まらないところがあって…あー!あったあった。これは…ノザかな?
宮崎:姐さんと話したあと津田に止められるところだね。
平田:そうそう。谷内くんが色々とセリフ言いながらシーンが変わっていくとこなんだけど…大通りから狭い路地裏に変わるっていう気配を能沢くんが出すんだよね。ここから路地裏です!っていう気配をさ。だから、舞台の真ん中に来たら路地裏用の狭い明かりに代わるって照明プランにしたんですよ。ということはですよ。真ん中に来ないと変えられないんだよ狭い明かりだから!結果僕はキュー番号60 番のところにね“このへん・役者次第”って書いてあるの(笑)
宮崎:アバウト(笑)
平田:だって!毎日全然違うんだもの。だから目が離せない。能沢くんに釘付けです(笑)
宮崎:まぁ、芝居はナマモノですから。
平田:ナマモノですから。出演者も裏方も真剣勝負。劇団員も、外部のスタッフさんも、いつも皆でチーム羅針盤です。なんならお客様も(笑)
宮崎:立ち回り増やすときはご相談を(笑)

⑥ 【華麗なる兄貴の音】
平田:音響的はどうなの?兄貴の方は去年と同じ作品じゃん。結構変わる?
宮崎:基本的には変えてないけど…変わる部分もあって。例えば音の入る位置とか変えてたりするよ。
平田:それはほら…前回は僕ニセモノだったから。
宮崎:ニセモノ(笑)。キャストが変われば変わる、は勿論なんだけど…それ以外でも佳代さんと能沢くんのシーンでの音の終わりを変えてたりするとこもあったよ。前回はスッと消してたけど、今回はもう少し引っ張ってたりとか。
平田:芝居作っててもね、立ち位置も前回の記憶と全然違うなぁとか思うもんね。
宮崎:全っ然違うよ!!上手下手が逆だったりなんてアタリマエだよ。
平田:ナマモノだもの(笑)。
宮崎:あ、ナマモノで思い出した。稽古中に雷が鳴った日があったでしょう。
平田:あったあった!効果音みたいに「ドーン!」って。
宮崎:ナベちゃんが篠原に頭を下げるっていうシリアスなシーンでさ。これ雷合うなぁ!って。すごくカッコよかったからそのまま採用しました。
平田:結果雨のシーンになった。
宮崎:遠雷があって、シーンを挟んで、能沢くんの一人語りで雨が降ってくる。ほらカッコいい!!
平田:いいじゃない!って言ったよ、演出家の僕は。
宮崎:でしょう?
平田:で、2週間後に照明さんとしての僕が「雨のシーンだぁ!?」になった。 もう回路なんて残ってませんけど!?っていう照明さんの悩みですよ!台本のどこにも「雨」だなんて書いてないのに。仕込んでましたよ、ええ。
宮崎:かっこよかったでしょう?!津田に「もういい」って言ってさ、独りになって雨にうたれる能沢くん。
平田:カッコよかったですよ。ほんと、映える男ですよ。
宮崎:ずるいよねぇ
平田:立ち位置変わるけど(笑)
宮崎:それは困るやつだね(笑)。あとは…音の出し引きかな。
平田:出し引き?
宮崎:稽古場から音は鳴らせるけど、稽古場の音と劇場の音は全然違うもの。劇場に入って音を鳴らして…音の圧を出すのか引くのか…めちゃくちゃ考えるよ。
平田:役者の声だってさ、劇場に入ったらやけにでかくなる人とかいるしね。解き放たれた何かのように
(笑)ノザとかもっさんとか…活き活きとしてくるもんね。
宮崎:してくるねぇ。ほんと、芝居はナマモノ!楽しい!!

⑦ 【権藤組のテーマ】
平田:懐かしの権藤組のテーマが炸裂したね。
宮崎:しましたね!
平田:ちゃんと昔の音源から…15年くらい前?の音源を使ってるのかな?ありがとうkattsuさん!
宮崎:岡本さん+権藤組=あの曲使いたい!って思って音をいただいて。残念ながら本番はニセモノだった去年。
平田:今年は本物になったじゃん。楽しそうだよねぇ、権藤組。
宮崎:楽しそうなのはいいんだけど…そのせいかリズムが走るのよ!落ち着いて歌ってくださーい!
平田:ちなみに権藤組1曲だけで明かりは15回ぐらい変わってます。忙しいのよ?
宮崎:そういうことをしてくれるからもっと楽しいことしたいって思っちゃうんじゃないですか☆
平田:今まで照明さんに無理させてたことがいっぱい…滝のように襲い掛かってくる(笑)
宮崎:去年もこのシーンは音に合わせて明かり変えてたよね?
平田:そうそう。去年は小松くんが照明やってくれてたんだけど…リズムよく押していって調子乗って、1個多く押したせいで次のシーンの明かりついて、暗転中に移動しなきゃいけない能沢くんが丸見えに(笑)
宮崎:そうだった(笑)
平田:結果能沢くんあれだよ?トラウマだよ?まだ明かりが完成する前の大体の明かりで稽古しててさ、そこがついたり消えたりするともう慌てた顔をしてて。
宮崎:トラウマになってる(笑)
平田:本番用じゃないから気にしないで!テストしてるだけだから!って言っても呼び起こされるみたい(笑)
宮崎:本番もドキドキしてたのかなぁ(笑)
平田:小松ショック(笑)

⑧ 【鬼に捧げる明かり】
平田:家族会議は普通に始まってるかもしれないなぁ…。
宮崎:最初に4つ明かりが…普通…?
平田:家族って言っておいてその明かりかいっていう。うちっぽいよね(笑)
宮崎:羅針盤っぽいけども(笑)
平田:家族は炬燵ありきで明かりを作ってたんだよね。炬燵に集まったときだけシュッと。明かりもシュールに集まりたいなって思ってて。あとは春夏秋冬で4人分の色をつけたいなって悩んで…小屋入るくらいの時にパンフレットを思い出したんだよね。内側の背景をどうしようかなぁ、黒一色は合わないなぁ…あ、年忘れってことは1年なんだから春夏秋冬でいいじゃないか!で、そこから照明も春夏秋冬で色をつけたらいいじゃないか!になった。
宮崎:キャラクターの名前も春夏秋冬だもんね。
平田:だからまず、パンフレット担当の俺が「春夏秋冬のピンク・緑・オレンジ・青にしよう」って言いだし、それを見た照明の俺が「その順番で色をつける」って言いだし、それを聞かされた演出の俺が「わかったわかった、じゃあその順番に立ち位置を変えようじゃないか」って言いだし(笑)。だから小屋入ってからあの辺の立ち位置はガラッと変わったんだよね。稽古場の時は、この辺に明かりがあるよ、しかないからさ。
宮崎:近いところに入れ、だったよね。
平田:そうそう。でも明かりに各キャラの色がくるなら春夏秋冬に並べ替えたいじゃない(笑)。強引な立ち位置調整がはじまったよね。
宮崎:役者さん大変だったと思うよ。「最上手から最下手に移動だと!?」みたいな(笑)。でも結果としてはいい位置になったよね。
平田:なったよね!名前通り、春と冬の両親の間に夏と秋。
宮崎:とてもバランスの良い立ち位置と明かりになったと思いますよ。
平田:あとはあれだよ、炬燵の中にも明かりはちゃんと入れたのよ?黄色。なのに…
宮崎:なのに?
平田:あんなに苦労して仕込んだのに見えない(笑)
宮崎:最終的には見えてたよ(笑)
平田:えぇ。全ては試行錯誤と諦めない心ですよ。
宮崎:パチパチパチパチ!!
平田:…とはいえね、もうちょっと時間があればもっと遊べたのになぁって思うよ。最後のプログラムが仕上がったのが本番の日だからね。ギリッギリだったよ。間に合わないかと思った。
宮崎:間に合ってよかったねぇ。
平田:土曜日本番だっていうのに、木曜日にまだ炬燵の中作ってたもん。
宮崎:大変だったねぇ…。ですが!音響から一言モノ申したい!
平田:なんでしょう。
宮崎:土曜日の本番直前に明かりが決まる→音のin点を変えたくなる→編集するしかない!!!めっちゃ頑張ったんだから!!
平田:それは本当に申し訳ない。あっはっはっは!
宮崎:笑いごとじゃないんだよぅ!

⑨ 【鬼に捧げる音】
平田:新作。音も悩んだでしょう。
宮崎:どこに入れよう、とかは悩まなかったですよ。みんなの稽古見てたら「ここだな」ってスッと降りてきたっていうか。
平田:それは良かった。
宮崎:ラストだけかなぁ~。ラストは悩みました。どう終わろうって。
平田:結局鬼の爆笑を…?
宮崎:入れてない。
平田:一応ね。録ったんですよね、鬼の笑い声。
宮崎:録った!録音しましたよ。でもねぇ…演出からNGが出まして。「リテイク!」って。小屋入りしてから。そんな時間がどこにある!っていう…
平田:家族の方に出演していない岡本くん、能沢くん、小松くんに鬼の声を担当してもらったんだよね。 やられる悲鳴とか。加工して使ってるんだよね。
宮崎:よい悲鳴をいただけたと思いますよ。
平田:家族会議は“来年の事を言えば鬼が笑う”がテーマだったから、やっぱり鬼の笑い声で終わりたいなっていう思いがあって…音響さんにオーダーを出したんだよね。で、録音してもらって。これがねぇ…シナリオと全然かみ合わない笑い方でねぇ…「ちがうだろ」って僕言ったんですよ。
宮崎:録音した時期もダメだったな、と。芝居が出来上がってなくて、あの三人もちゃんと稽古を見れていない状態だったからさ。そんな状態で録ってもそりゃダメなものになるな、って反省です。
平田:それは…そうかな(笑)
宮崎:本音を言えばやっぱり鬼の笑い声は入れたかったよ。
平田:そりゃあね。
宮崎:結果戦ってるみんなの音で終わるって形になった。
平田:まぁ、そのおかげでね。シャボン玉っていうとんでもないセリフが生まれたけどね(笑)
宮崎:すーちゃんね(安田さん)。なんで生まれたんだっけ?そのセリフ。
平田:えっとね、寺嶋さん演じる冬美が「あら、いけない」を口癖にしてあってね。荒御魂とか幸御魂の伏線の為だったんだけど。そうするとラスト薙刀を取り出して戦う安田さんの夏希も荒御魂とか言うのかなーって思っ…「違う、タマさえあってりゃなんでもいいんだ」って気づいて。それであとは自由にどうぞってオーダーしたら「しゃぼんだまぁ!!!」って叫んでた(笑)
宮崎:お客様、たくさん笑ってくれて嬉しかったね。
平田:最高でした。

⑩ 【やっとまとまった】
平田:こうやって芝居小屋やるとね。音も明かりも…自分たちだけでやるってなると、初心に返る部分があるよね。
宮崎:あるぅ… 。
平田:楽しいし、難しいし…両方なんだけど。お客様的には関係ないからね。自分たちだけでやろうが、外部スタッフさんにお願いしようが。お客様はお芝居を見に来てるだけだからさ。ま、ちょっと、ちょっとね!安くなったりはしてるけど(笑)
宮崎:でもね。“お芝居を観る”っていう部分では何も変わらないからね。
平田:僕らもほら、劇団って名乗ってるからには基本的には最低限自分たちでやれるようにって思っちゃうからね。劇団だもの。
宮崎:劇団だもの。
平田:劇団ってほら、誰かがそのジャンルが出来ればいい、みたいな感じじゃないですか。大道具作れる人がいて、衣装が作れる人がいて、音を鳴らせる人がいて…みたいな分業が許されるのが劇団っていう集団かなって思うんだよね。
宮崎:まぁね。一人で全部やれる必要はないからね。
平田:死んじゃう(笑)
宮崎:平田さんはセクション多すぎませんか?
平田:それが歳をとるということなんでしょう(笑)
宮崎:『千夜一夜の鍵言葉』の舞台は私がラフイメージで上手と下手に段差をかいたことがきっかけだったんでしょ?
平田:そうだったそうだった。僕はアイディア欲しがる人なんでね。脚本から何から、皆の意見はいつも大募集。
宮崎:ひとりで考えられることなんて知れてるよ。みんなで相談してみんなで考える。そうやって作っていけるのが劇団じゃない?
平田:それが醍醐味だよねえ。里山でずっとやってきた芝居小屋をドラマでもやるようになって…できれば続くといいなって。
宮崎:続けよう!
平田:あと…やらないと忘れちゃうもの…
宮崎:そうね。特に照明は、照明卓を使えるところが少ないからね。
平田:そうなんだよ。貴重な劇場です。
宮崎:続けよう!!
平田:あなたそれしか言ってなくない?
宮崎:続けよう!!!言い続けたら叶うんです。
平田:来年のことを言うと…?
宮崎:やばい、鬼に笑われちゃう。
平田:それよ(笑)
宮崎:なんにせよ!
平田:みなさま、本当にご来場ありがとうございました。そしてこの長―――い対談日記を読んでくださりありがとうございました。
宮崎:みなさまに愛を込めて
平田・宮崎:よいお年を―――!!!
平田:違う、これ間に合わないよ絶対。
平田・宮崎:2026もよろしくお願いしま―――す!!!