【6月上旬】
文字数だけは膨大になってきましたが、台本になっているのはまだ数ページ。作品に欲しいものを小道具の能沢くんと衣装の宮崎さんにぶん投げ発注しました。本当に申し訳ない。そしてありがとう。
「舵輪」「槍」「三日月刀」「絨毯」「望遠鏡」「手枷」
中にはまだ台本に登場しておらず、何に使うかも謎だったりする物もチラホラと。頭の中のイメージがまだ言語化出来てないんですね。
特に「草薙剣」「八咫鏡」「八尺瓊勾玉」たち。
今作の根幹に関わるハズですが「どう使うんですか?」私が聞きたい。
【6月下旬】
台本はまだ1/3程度。それでもオープニングの立ち回りを作る。とりあえず槍は出ました。やった!
今作は三つの秘匿物「空飛ぶ絨毯」「千里眼鏡」「生命の林檎」を手に入れる物語になっています。そう、見かけ上です。
敵を騙すにはまず味方から。お客様を騙すには、
「お客様は敵じゃなくて味方です」そうだった…。
そしてようやく「空飛ぶ絨毯」編が形になり始めます。
飛べ!魔法の絨毯!という台詞に満足して「完」と書きかけました。
【7月上旬】
「千里眼鏡」編が書きあがります。絶対使いたいと思っていた島のエピソードが完成です。勢いよく稽古が進む→台本が追いつかれそうになる→今晩の稽古までに1ページだけでも…!と週刊連載の漫画家さんのようになってました。それなのに。ここで起承転結の壁が立ちはだかるんです。
「転」
西へ西へと向かう物語、と見せかけて東へスライドして着地する。
そのためには。
序盤から少しずつ、少しずつ伏線を貼らなければなりません。
つまり…ここまで書きあがったはずの前半も決して完成ではなく、ずっと手を入れっぱなしなのです。後半を早く書き上げたいというのに。
ボヤいていると「誰が始めたんですか?」そうだね。パンフレットの写真でも撮りますか。
【7月下旬】
皆の写真を撮り、宮崎さんに加工してもらったものの、パンフレットはまだ全く手を付けていませんでした。
なぜなら間もなく劇場入りするからです。つまり舞台図面がいるんです。いや大丈夫。頭の中にはとっくに描けているんです。
「照明さんと音響さんが待ってます」その通り。台本も欲しいでしょうが舞台図面だって欲しいはずです。大道具の私だって勿論欲しい。
ついでに言えば、台本は勿論上がっていません。のたうち回っていると終了日記①で語った4月下旬の記憶がよみがえってきます。そうだ「東」の一文字だ。勢いよくラストまで書き上げ───
【8月1日】
劇場入りの朝。描き上げたばかりの舞台図と仕込み図を持ってドラマ工房へ。朝から晩まで劇場で暮らす楽しい日々の始まりです。
数日前から完成台本で通し稽古もしていました。いよいよ大詰めです。そしてこのあとラスト5ページばかりをガラッと書き直すことになるのです。…あれ?
とまあ波乱万丈七転八倒の旅路でした。完成したと思ったそばから気になるところが増えていくのです。推敲とはよく言ったものだなあ…。思えばどのキャラクター達も書き始めとは違う性格になり、全く違う生き様を選んでいきました。稽古で変わり、書いて変わり、また稽古で変わる。劇中でニーヤが言い放った「こだわり強い男に帆を持つ船を」はカシムに対してなのか、はたまた私に向けてなのか。若手の頃に言われた「お前もっとこだわれよ」は良くも悪くも呪いの指針になっているのかもしれません。
しかしそれでも。
お客様の笑い声や拍手、「もう一度見たい」のメッセージに私は救われていくのです。
万感を込めて。
あー楽しかった!皆様ありがとうございました!!
平田知大









