公演終了日記 八木&バイソン

いかん!8月が終わる。
という書き出しだったのですが、9月ももう半ば。人生はかくも忙しい…。

『太陽系全速力』
楽しい芝居だったなあ。稽古も、作業も、本番も。
ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました!

──太陽系全速力の作り方──

2月
朱門さんの出演は昨年のうちに決まってました。
しかし、具体的な作品はまだ全然…ということでプレゼン資料作りです。
まずタイトルを考えましょう。
宇宙を走り回りたい。
ハイテクノロジーなのに汗だくで走り回る仕掛けが欲しい。
だけど架空の惑星を出すと説明が大変。無限に広がりすぎるのも困りもの。
そうだ。太陽系だけでいいんじゃないか。水金地火木土天海…冥だ。
太陽系全速力。

3月
全速力が“フルスロットル”という読みになる。
そういえば別のタイトル案もあったんですが、皆にえらく不評で取り下げです。
会社命令でレースに参加させられるが、中盤でクビになる。だけれどそこから自分の意思で───。
大まかなストーリーラインが決まります。
そこから前半部分を抜粋してチラシ用のあらすじが生まれます。
会社員設定なのは安田さんの影響ですね。会社員の生き様がSFになったらと。
妙な社訓「我が休日 我がものと思わず」は大学時代の児童文化部に掲げられてました。懐かしくも恐ろしい…。
そしてこの頃におのでらさんと龍城さんを誘ってましたね。
撮影現場で。喫茶店で。隙あらばプレゼンです。
「ひとり2~3役です」

4月
ゲストさんが3名確定し、出演者は5名と決まりました。
出演者が少ない=登場キャラクターが多い、というのが羅針盤のお約束。
とはいえ無限に増やしてしまうと収拾がつかないため縛りをつけることにしました。
12星座です。聖闘士星矢世代ですから。
これでキャラクター数が決まりました。
ついでに星座占いを片っ端から調べ「○○座の人はこんな人」という分析を縛りにしました。
名前の大募集も始まります。星座の名前でもあり、一瞬気づかないぐらいの。
ねえ八木君。

5月
ゴールデンウイーク明けから稽古開始。
まだ全然書きあがってないのはいつものこと。
というより、皆のアイデア大募集な日々が始まります。
なんせ八木とレオ以外決まってないで稽古に突入です。
どの役とどの役を兼任すれば上手く回るのか。手探りな日々。ずっと手探り。
上演版とは全く違うキャスティングありましたね。
私のバイソンを朱門さんとか、おのでらさんのメイ社長を龍城さんとか。
もちろん惑星のエピソードもてんこ盛り。天王星の横倒しを楽しみに進んでました。
水星が灼熱なのは科学的にそうなんですが、セーラームーン世代の女性陣からは「納得がいかない」

6月
アイデア満載の日々。台本に手書きの書き込みが増える→印刷しなおす。
毎日ゲラゲラ笑いながら稽古していたんですが、
このあたりで過去作『西遊記』よりずっとしんどいことに気づきます。何故だ。
冷房フル回転の稽古場の温度計は無情にも30℃を下回ることがなく、
サーキュレーターと扇風機はひたすら熱気をかき混ぜる始末。
冷凍庫には常にガリガリ君が入っておりました。
気がつけばキャスト陣の体重はどんどん落ちて、朱門さんに至っては10キロマイナス。
見事「羅針盤芝居ダイエット」が確立されました。
同時に衣装の宮崎さんから「採寸の意味とは」とそこそこ真面目に怒られるのでした。
そしてこの頃、「40ページぐらいで終わると言ったが、あれは40ページ台という意味だ。…ゴメンて」

7月
稽古場を出てドラマ工房へ。
やっと。やっと広い空間に突入です。
ようやく全力で立ち回りが出来る。全速で刀が振れる。
そして、もっと走らなければ舞台袖に辿り着けない。
劇場初日から絶望の全速力が始まったのでした。
苦笑いしながら駆け抜ける4人の姿に、「皆ホントに芝居が好きだなあ」と思ったものです。
あ、ページ数ですか? 40ページ台で終わる!と宣言していたため48ページにまとめてみました。
朱門さんから「ラスト、淡白ですね」
────「言われると思ったよ馬鹿野郎」
3ページ破り捨てて、6ページぐらい追加してやりました。ありがとう。

頼れる仲間たちと全速力で駆け抜けた楽しい日々。こうしてまた再演したい作品が増えていくのです。

明日羅針盤は能登の保育園へ。
新人の氷室さんは10月に星の劇団さんへ出演(2足のわらじなのです)。
おのでらさんも10月に能登町でアンゲルス公演を。
龍城さんは11月にミュージカルを。

かつて羅針盤の目標に掲げた「演劇溢れる街を」。なんだか叶いそうです。
羅針盤の次作は12月。また劇場でお目にかかれる日を楽しみにしております。
ご来場ありがとうございました!

平田知大