公演終了日記 黄金井・弁慶・作と演出・なぜか渡辺

芝居小屋羅針盤─背水の陣─にご来場いただきありがとうございました!
たくさん笑っていただき、とてもとても幸せな6ステージでした。

2週間ずーっと芸術村ドラマ工房。家族の顔より仲間の顔を見ていた気がしますね。万全の準備を整えて公演を打つ。そのための2週間だったのですが…?
この代表ときたら劇場の楽屋でまだ台本書いてたんですよ。しかもBとC。
結果舞台図は遅れ、照明プランも遅れ、なんだったらパンフレットだって遅れに遅れる始末。舞台を仕込む→稽古する→台本書く→照明を吊る→台本書く→稽古する→パンフレット作らなきゃ!
台本のラストが上がったのは本番の5日前…ぐらいかな。覚えた皆に拍手です。

いや!言い訳はあるんですよ言い訳は!
40分×3本、新作2本の予定が宮崎さんの「あたしも新作がいいなあ」なんてひと言に乗っかったばかりに!
いやそもそも能沢くんの「背水の陣ってタイトルどうですかね?」にそれ良いね!なんて言ったばっかりに!
そう、全ては私がGOを出したからです。皆で地獄の一丁目を垣間見た気がします。住めば都ですよきっと。

劇場の片隅では道具陣の3人がそれぞれ作業場を確保し、楽屋のテーブルでは私が台本(もうちょっと)とパソコン(パンフ書きかけ)と照明図(吊っては書き直す)を広げ、衣装の宮崎さんと陣取り合戦を繰り広げておりました。小松くんとは本番ギリギリまで照明プランを打ち合わせる始末。Aの直前にCを考えていたりの総力戦。七転八倒、波乱万丈、大変!楽しい日々でした。

そして迎えた本番×6。本当に楽しかったなあ。『ヒーロー』も、『義経』も、『尖った兄貴』もメチャクチャ楽しい。お客様もたくさん笑ってくれる。これが病みつきというやつですね。公演の写真がほぼないのが人手不足の証、唯一の心残りです。みんなお疲れ。本当にありがとう。

A『ヒーローは倒れられない』
いつだったか志波さんと「ヒーローショーの舞台袖を描いたら面白いんじゃないか」で盛り上がりました。「録音された台詞の順番が入れ替わる」「衣装を間違えて出られない」「必殺技が出せなくなる」「そもそも一人欠席してる」それはヤバい、とゲラゲラ笑ったアイデアたちを実現するともー大変。複雑なセットもあって間に合わない着替え達。着替えのための通し稽古、なんてのもたくさんやりました。個人的には明後日の方向を向いている照明たちがツボでした。あの先のステージで一体何が起こっているのか…。そうそう、長官の声は岡本くんです。Cに出られなかったけれどAには出られ?ました!録音だけど! ちなみに登場人物たちは紅谷、青柳、黄金井、緑上、桃津に銀島。分かりやすい。

B『義経と弁慶と・・・・・・誰だっけ?』
もともと安宅の関ネタはHIROZさんで15人芝居にし、のちに侍館さんで3人芝居+生演奏に作り替えて、毎月公演のときに再演しました。そのときはひぐらしミュージックトリオさんとご一緒でしたね。
今回上演するにあたり、能沢くんは富樫役だと思っていたようです。ただそうすると宮崎さんが義経になって、それを殴る俺って光景はさすがに駄目なんじゃないかなあ。
ということで宮崎富樫には強そうな志波斎藤を付けました。で、富樫、富樫の新エピソード…ご覧いただいた方にはお分かりですね? 血気にはやる頃もあれば、情にあつい頃もある。ラストは意外と史実のようです。

C『尖った兄貴の華麗なる憂鬱』
もうね、岡本くんですよ岡本くん!(お大事に)
独創的な彼の芝居をトレースなんて出来るか!(回復して何より)
尖った兄貴に出るハズはなかったのですが、かつて前日に代役を任せた川端くん、前々日から代役をお願いした寺嶋さん、羅針盤20年分のツケが回ってきたようです。楽屋でこんなに台本を読んだのは初めてかもしれない。舞台袖にも台本を持ち込みましたが……暗くて読めるはずもなく、舞台上で能沢くんのアドリブに助けられ、谷内くんのフォローに助けられ、寺嶋さんの顔を見て台詞を思い出しておりましたとさ。

とまあ、濃密な日々の果てに生み出された3作品。いかがだったでしょうか? 楽しすぎてどれもこれもまたやろうと思っております。大変なことは否定しませんが、それもまた劇団の魅力と底力。たくさん楽しんでいただければ幸いです。
次回は1月の『こぶた』、続いて2月、3月と続きます。それでは次の舞台で。あ、良いお年を!

(日記当番 平田知大)