「どんだけポジティブなんですか」
「ジタバタしても仕方ないじゃない」
「僕の仕事めっちゃ無くなってるんですけど」
「私もだ。羅針盤は刻一刻と無職に近づいている」
「何ですかそのポーズ」
「もうお手上げ。一緒にやらない?」
「終息したら皆でバンザイしましょう」
「いいねそれ……おや?」
「お手紙、届いてたわよ?」
「あの…裏が気になるんですけど」
「あらやだ。差出人の名前が無いわ」
「そこじゃない」
「いいなーファンレター、いーなー」
「代表ちょっと黙っててください」
「今遠くから俺を切って落としたの北国さんかい?」
「静かに!」
「こればっかりは若者の特権…何コレ」
「どうした?」
★「ただの小道具リストじゃないですか!買うのか作るのかそれとも稽古場の魔境から発掘して発見して改造して完成させるのかリスト!」
「ひと息で言えた?」
「言えました!」
「それでは、お客様も能沢君の★台詞をひと息でどうぞ!」
「って何をやらせるんですか何を」
「お客様も自粛自粛で退屈だろうと思って」
「ずーっと家にいますもんね」
「こんなに稽古してない日々って何年ぶりなんだろう」
「2年前の毎月公演からするとアップダウンが」
「上がったり下がったり」
「上がったり下がったり」
「「…下がりたくはないよ!」」
「はいもしもし、劇団羅針盤です。……ですよねー。いえいえ、大丈夫です。またよろしくお願いしまーす」
「…お仕事キャンセルだ!」
「でしょうね!」
「もー何本目か分からないよ」
「10までは数えてました」
「何で爽やかに大丈夫ですとか言うかな俺」
「爽やかではないです」
「傷口に塩塗り込むなよ」
「そういえば何だか傾いてますね」
「経営状態を写真で表現するなよカメラさん」
「沈没」
「塩!」
「みかん食べない?」
「稽古場で食べるみかん、最高だ」
「最高です」
「割と羅針盤って舞台で食べるわね」
「食べる」
「おにぎりとか、おしることか」
「ひと口の配分考えないと、台詞が言えなくなる」
「なるー!」
「今気づいたんだけど」
「何ですか?」
「これ…みかんじゃねえ」
「やだ! もう4月18日じゃない!」
「今日から芸術村も休館だそうです」
「来るべきものが来たか…」
「来てない」
「何が?」
「あたしの誕生日、劇団ケーキ!」
「いや、稽古場閉めてるし仕方ない」
「コロナの馬鹿ー!」
「…(代表、こんなときどうしたら)」
「…(いいから黙って寝たふりしとけ)」
「起きろーーーーー!」
「なああああああ!」
「なんか衝撃波っぽいの出た!」
「どうしてキリ番は起こされるの」
「40枚目ーーーーー!」