●第40回公演『さらば愛しき時代の月よ』

そこは暗がりだった。
──見上げればそこには、月が微笑んでいた。
明けぬ夜など無いのでござる。
──ござる?
左様、貴殿達には一つ頼みが、
──左様?
話の腰を折らんでくれぬか。
──ひとつ聞いてもいいかな。
何なりと。
──今、何時代?
黒船の来航によって永き眠りから覚めたこの日ノ本は、いまだ新しい時代に辿り着いておらぬでござる。
──それってつまり。
あの日まで、百五十年。